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平成19年10月17日
日本船舶海洋工学会 関西支部
造船資料・用具の調査・保存委員会
1.(保存活動開始の趣意)
我が国現代の造船技術は幕末・明治期に欧米方式を導入してスタートして以来先人の叡智と努力により著しい進歩と様々な変遷を遂げてきた。 特に近年は周辺技術の進歩にしたがって急速に変化し、とりわけ電子計算機の発展により劇的な変化を遂げている。
あらゆる工程が従来の手作業を中心とした手法から電子計算機による手法に移行し、使用されなくなった在来手法、用具類は忘れ去られる危機に瀕している。
理論分野については各種論文集や出版物により記録保存がなされ将来とも検索が可能な状態にあると考えてよいが、特に設計、工作、試運転などの実際に船を作り上げる実務段階の手法、用具類は急速に失われようとしている。
これらの変遷の状況を記録に残し、かつ用具・原図などについて実物を保存することは技術史、文化史的観点から極めて有益であると考えられる。 またある意味ではその変遷を身をもって経験してきた世代の義務であるとも思われる。 すでに遅いかもしれないが、散逸、滅失してしまう前に、また経験した当事者が健在な間に、この作業を行い後世に引き継ぐ決意をしたものである。
既に一部の事物については個別企業のPRの一環として収集され一般向けに展示されているものもあるが、造船技術全般について客観的かつ系統的な保存活動は行われていないように思われる。
斯かる情況に鑑み、日本船舶海洋工学会関西支部では、このような活動も学会活動の一環であるとの認識に立ち保存に関する委員会を設置して学問的見地から保存活動を開始することになった。
2.(保存構想)
造船技術の発展過程を系統的に把握出来るように資料を収集、整理し保存する。 資料の収集は、団体あるいは個人の所有するもので所有者が提供可能なものの提供を受けて行う。 用具類については使用方法のほか背景となる理論など学術的な解説を付して展示する。
必要に応じ現場調査や、作業・資料の映像による記録採取等も行う。 理論的背景の解説や考察の適正さを保証するため保存委員会に学識経験者群を設ける。
更に展示のみに留まらず、技術研究者が容易にその資料・現物に接し、要すれば以前の考え方や手法を追体験することも可能な体制と施設の整備を指向し、それらを通じて造船技術の継続的発展に寄与することを目指す。
展示は一般市民への公開も行い、海事思想普及の一助とする。 記録、展示、情報の発信に就いては各種媒体の活用を図る。
3.(保存対象)
保存対象は造船に関連する事物を中心とするが、収集の過程で提供を受けた或は見付かった造船関係以外の海事関係資料・事物についても同様に扱う。
ただし活動の着手順序として、当面は造船設計技術関係を主対象とする。 保存対象とするか否かの判定は保存委員会で行う。
4.(保存・展示場所)
現時点では 神戸大学大学院 海事科学研究科 海事博物館 (以下博物館) (館長 : 石田憲治教授) とする。 理由は下記による。
(1) 「昭和造船史」 第2巻658頁に記載の通り、我国に数少ない海事関係の博物館として認知
されている。
(2) 造船港湾都市神戸の学術施設に このような資料が保存・展示されることは 一般への開示
の観点からも極めて好都合である。
収集物の所有に関しては提供者並びに博物館と学会との間で協議決定する。 蒐集物の分類、解説の作成などは保存委員会で立案する。 提供者の指示する事項について守秘義務を負う。 将来の展示方法などは蒐集の結果を見て関係者間で協議する。
以上
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